革財布 革の違いはどこにあるのか?
革財布のエイジングといえば、なめし方法で変わる
動物の革はそのままでは使えません、放っておくと、カチカチになってどうしようもないからです。それを加工して鞄などに使えるようにはナメシ加工が必要です。それはもちろん鞄を作る職人さんがやるのではなくて、タンナーと呼ばれる革をナメす専用の職人がつくるのです。
そのナメし方が大きく分けて4っつありますが、近年ではvegetable tanned leatherという方法とchrome tanned leatherという二つの方法が主流となってしまいました。
しかし、最近のなめし方法で人気のあるのはずばり、vegetable tanned leather すなわちタンニンなめしと言われる方法です。これはなぜかというと、タンニンナメシの商品は手入れすると1生涯つかえるほどの物だからです。
近代的な革のナメし方クロームなめしとタンニンなめし
日本では実を言うと、まだまだchrome tanned leather すなわちクロームなめしが主流です。なぜなら加工方法が安い、傷がつきにくい。丈夫である。水に強いといいことずくめだからです。
ところが最近ではvegetable tanned leather (タンニンなめし)が若い人たちの間で人気があります。
なぜか?革らしい。見た目が美しい。経年変化があり、(エイジングする。)したがって、レトロ感覚が出るから。 そして、実はこの方法で作った商品がもっとも丈夫で長持ちします。
ではまずこの2つの方法を紹介します。
chrome tanned leather
なめし(鞣し)方法のひとつで、クロム金属の薬品を使います。化学物質なので低コスト、ドラムという機械に入れて、ぐるぐると回し、短時間で革をナメしてしまう クロムナメしをすると天然皮革は柔らかく、傷に強く 水に強く、色をつけ易くなり、保存性が高くなります。したがって、色々な製品に幅広くつかわれるようになりました。
タンニン なめし革 経年変化
植物からでるタンニンという成分をつかうのでタンニンナメしとも言われます。
植物から採れるタンニンという成分でナメすので、環境に優しいという特徴を持っています。イタリアなどではChromeナメしよりもむしろタンニンな飯の方が主流です。
そして、イタリアのベジタブルタンニンナメしはワインの様に土壌の違いなどで 日本では出せない風合いや色がでます。マサ最近では地球環境にも優しいと言われています
「タンニンなめし」はコストがかかる理由
ピット槽と呼ばれるナメシ液が入ったプールに革を漬け込んで濃度を少しずつ上げながらナメシます 30以上の行程がかかるために、手間隙をかけねばならず、クロムなめしと比べて高価になるのが普通です。
タンニンナメシの美しさ
タンニンナメしで作られた製品は使い込むほど艶が出てレトロ感が出てきます。
型崩れしにくく丈夫。染料の吸収が良く非常に美しい色が出る
ただしデメリットは水に弱くシミになりやすかったり、傷つきやすかったり、日光にあたりエイジングしたりしますが、そこがまた革の味となって若い人たちにも人気になりつつあります。
その他のナメし方
他の2つの方法は最近ではほとんど使われませんが、紹介しておきます
aldehyde tanned leather
有機化合物で、アルデヒドでなめす方法
アルデヒドはタンパク質に反応して柔らかくなる。黄褐色に着色されるので色が限定される クロムなめしと混ぜて併用すると柔らかさがますので、コンビネーションで使われることがある。主に柔らかさを出すナメし方法として使われている。
rawhide tanned leather
「ローはraw、生のという意味でハイドはhide、皮という意味らしい かなり原始的ななめし方法で、それこそアメリカの西部開拓時代に使われたようななめし方法だ。
ローハイドという西部劇の映画があったが、おそらく同じ意味だろうと思う。
牛などの原皮を脱毛し、塩と油で揉み上げ、天日にさらしてナメし、環境に最も優しい。
エコななめし方というわけだ。だが筆者は実際この方法を見たことはないし、現代でも存在するのかすらわからない。幻のナメし方と言ってもいいかもしれない。
実際このなめし方で、なめした革がどのような表情を持っているのかすら、筆者は見たことがない。